夫婦喧嘩をしてしまうとき、子どもは敏感にその雰囲気を感じ取ります。今回は「夫婦関係が子どもに与える影響」について、実際のご相談事例をもとにお話しします。
夫婦喧嘩をしてしまったご家庭からのご相談
「昨日も夫婦喧嘩をしてしまいました。二人の子どもは気づかないように、自分の部屋に身を潜めていました。 私たちは“できちゃった婚”で、お付き合いして半年で子どもができました。最近は“授かり婚”とも言われ、悪いイメージは少ないですが、正直お互いのことをよく知らないまま結婚したのです。
新婚当初は発見ばかりで楽しかったのですが、一番違ったのはお金の使い方。夫はあれば全部使ってしまうし、貯金はしない。でも子どもの将来を考えたら貯金は必要です。子どもにも甘く、お金がなくてもすぐ買ってしまう夫に、毎晩喧嘩が絶えません。どうしたらいいでしょうか?」
このようなご相談をいただきました。
カウンセリングでの第一歩:お互いの声を聴く
夫婦でのカウンセリングでは、まず「お互いの話を遮らない」ことを大切にしています。 今回も、申し込みをされた奥さまからお話を伺い、その後ご主人にお話を聞きました。
最初はお互いの不満ばかりが出てきます。
「貯金しない」「お金を使いすぎる」「厳しすぎる」「甘すぎる」…と、相手を責める言葉が続きました。
そこで私はこう伺いました。
「では、お互いの良いところを教えてください。」
すると最初は「ない」と言っていたご夫婦。
けれど「小さなことでも」と促すと、ご主人は「妻のご飯は美味しい、美味しいと毎日食べています」と。
奥さまは「ピーマンが嫌いな夫のために、肉詰めにしたり天ぷらにしたり工夫して食べられるようにしてくれる」と。
その瞬間から、少しずつお二人の表情が変わりました。
子どもは夫婦の関係を敏感に感じ取る
夫婦関係がぎくしゃくしているとき、子どもはとても敏感にそれを感じ取ります。 声を荒げた喧嘩の場面を直接見なくても、家の空気感や小さな表情の変化で「今は声をかけない方がいい」と判断し、身を潜めるのです。
安心して暮らせるはずの家庭が「緊張する場所」になってしまうと、子どもは無意識のうちに不安を抱え込みます。
だからこそ夫婦の関係を少しずつでも良い方向に変えていくことが、子どもの心を守ることにつながります。
「できていないこと」より「できていること」に目を向ける
夫婦は家族だからこそ、つい「もっとこうして欲しい」「なぜできないの」と期待が強くなり、言葉がきつくなってしまいます。
でも、不満ではなく「良いところ」「できていること」に意識を向けるだけで関係は変わり始めます。
「ご飯を作ってくれてありがとう」
「お仕事を頑張ってくれて助かるよ」
小さな言葉からでも、家庭の雰囲気は変わり、子どもにとって安心できる空間に近づいていきます。
まとめ:家庭に安心感を育てるために
夫婦関係は子どもに大きな影響を与えます。 喧嘩や不満ばかりに目を向けるのではなく、今できていること、相手の良いところに目を向ける習慣を持つこと。 それが、子どもにとって「安心できる家庭」をつくる第一歩です。
家族カウンセリング研究所では、夫婦のコミュニケーション改善や子どもの安心感を育むサポートを行っています。
家庭の中で少しでも不安を感じることがあれば、ぜひ一度ご相談ください。